ハッピー・ライフ・ダイアリー

茶道・歌舞伎・江戸絵画など・・

流白浪燦星@新橋演舞場

面白かった。楽しかった!
愛之助が話し方をルパンに寄せていて、それでいて歌舞伎らしく、流石!
次元も次元。笑三郎は上手い!五エ門が予想以上に五エ門。松也が五エ門の剣さばきを見事にリアルに再現。銭形も銭形。中車の不器用さが、とっつあんの雰囲気そのもの。そして、笑也の不二子!きれい!そして、何より、動きが不二子❤。
歌舞伎の世界には存在しない行動的で男性に付き従わない現代的女性!待ってました!!
そして、鷹之資くんが少し見ない間によい役者に成長!!殺陣もバッチリ。右近くんは相変わらず美しく、歌舞伎の花魁を見せる。
嬉しいのは千寿さんの器用さがみなさんに知られたことwwニセ次元で笑いを取り、萬望軒は饒舌に客席を盛り上げる。
ストーリー展開にはちょっと無理があるものの、それぞれの決め台詞をうまく織り込み、「そう来なくっちゃねー」というところをしっかり押さえてるので、安心して楽しめる。時代のネタも織り込み、江戸庶民はこういう同時代ネタで笑ってたんだろうなぁ・・と。
カーテンコールで、全員再演希望してたので、近いうちに再演あるものと期待。

やまと絵@東京国立博物館

「お腹いっぱい」と思うほどの、展示数。やまと絵は、一つ一つの絵が細かいから、単眼鏡が必須、そして、歩みが遅いので時間がかかる。結局、2時間30分以上滞在になり、最後の方は集中力が切れておりました。

圧巻は平安時代の絵巻。伴大納言絵巻も信貴山縁起絵巻も、人間の動きが軽快に表現されて表情が豊か。お約束の鳥獣戯画の甲巻は、相変わらずの楽しさ。日本のアニメ文化の原点はここにあり。

その他にも春日権現記、平治物語絵巻、一遍聖絵 法然上人絵伝、佐竹本三十六歌仙、病草紙、百鬼夜行大江山の鬼退治・・と見どころが盛りだくさん。
一つ一つの印象が薄れてしまうのは仕方ないとして、日本の宮廷文化が脈々と続き、それが狩野派琳派へ引き継がれていく様子が学べるよい展示だった。

錦秋十月大歌舞伎@歌舞伎座

双蝶々曲輪日記 角力

濡髪が手を抜いたことを知った後の巳之助の長吉の怒りの表情が素晴らしく良かった。
与五郎のつっころばし・・はイマイチ。もっともっと、弱弱しく、おバカな感じでよいと思うの。

水戸黄門

弥十郎の黄門は「鎌倉殿の13人」を思い起こすおとぼけぶりからの、天下の副将軍への変貌ぶりはお約束通り。福之助、歌之助の助さん・格さんは、若々しく、立ち回りも華やかでよし。この組み合わせで、テレビ版でシリーズ化してほしいもの。黄門さまだから最後は大団円になるのがわかっているので、安心しておおらかな気分で見られるのが、伝統的な演目とは違うところか?
テレビとは違うので、印籠の出番はなく、風車の弥七やおえんが出てこないのはちょっと残念。また、立ち回りは、黄門さま番組らしく、切り付けないで峰打ちにしてほしかったな・・。
・・って、テレビの影響大きすぎるな・・。

永遠の都ローマ展@東京都美術館

カピトリーノ美術館の所蔵品の展示からローマの歴史を辿る展示。
雌狼と双子の彫刻のレプリカが出迎えてくれる。アウグストゥストラヤヌス他、皇帝とその家族の彫像。そして、コンスタンティヌス帝の巨大な頭部にビーナスと目玉となる彫刻が並ぶ。ミケランジェロの構想に基づく、カピトリーノの丘の開発の説明もあり。海外はアンニバレ・カラッチ、グイド・レーニのルクレツィアなど。トラヤヌスの記念柱の版画、ナポレオン3世が作らせたレプリカなど、面白いものも。ただ、カラヴァッジョの洗礼者ヨハネの絵が東京会場には展示されたいなかったのは残念。
カピトリーノ美術館を訪れた日を思い出しつつ、見落としてが作品が多数あることに気が付いて、やはり、ローマにまた行きたい!と改めて思う。

秀山祭@歌舞伎座 夜の部

1階1列6番。花道七三あたりの真横。花道では役者の息遣いまで感じられる良い席。一方、舞台は斜めから見るため、大道具が歪んで見える。というか、船・樹木などは正面から立体感が出るように描かれているということを実感。三演目とも花道を多用するものなので、役者との近さを楽しんだ。


【車引】
歌昇の力いっぱいの梅王は、清々しく好印象。種之助の桜丸は、凛とした美しさでこちらも良き。若き二人に対する又五郎の松王は貫禄。鷹之資の杉王も美しく、それぞれのポージングが美しく均整のとれた車引で良き。

 

【連獅子】
丑之助が大健闘!仔獅子が谷に落とされて花道でおとなしくしているところ、間近で見られたが、肩で息をつき、汗が吹き出し、小さな身体で懸命に動いていた様子がありありと。後ろ向きで花道を引っ込むところも、瞬きせず、正面を向き、集中力のすごさが伝わる。優雅で華やかな親獅子は菊之助らしい。丑之助が吉右衛門の芸風を継ぐのか、音羽屋の華やかさを継ぐのか・・両方の可能性を感じられて、期待が膨らむ。
彦三郎・種之助の宗論は、二人とも声が良いので、迫力のある「なまんだ♪」「ほけきょ♬」で楽しい。

 

【一本刀土俵入】

今まで縁がなく初見の演目。幸四郎の鍛えられた生足を花道真横で眺めたのは垂涎。後半の幸四郎は格好よく、スッキリとした話。ふと、お蔦は猿之助だったら、仇で色っぽい感じがピッタリだよな・・幸四郎と組んだらよい舞台だったよなぁ・・と、改めて猿之助がいないことを思う。

七月大歌舞伎(松竹座&歌舞伎座)

【松竹座】
1.俊寛
仁左衛門さんは細かい表情まで丁寧に演じる。幸四郎丹波少将、菊之助の丹左衛門、弥十郎の瀬尾の中で、千之助の千鳥がどうしても力不足。今後の成長を期待。
やっぱり、俊寛はストーリーとして好きになれないなぁ・・。

2.吉原狐
面白い!米吉のおきちが最高。早合点で思い込みが強く、惚れっぽい。父親役の幸四郎との掛け合いがテンポもよく、最高のコメディエンヌ振りを発揮。松竹座で幸四郎さんが演じる演目はいつも最高。

歌舞伎座 菊宴月白浪】
忠臣蔵の後日話。斧定九郎が忠義の家来という設定。その他、忠臣蔵の話の登場人物、設定、セリフなどをパロディ的に織り込んで面白い。最後の立ち回り、両側を使った宙乗りなど面白いのだが、ストーリーが込み入りすぎて、ちょっと中だるみ、ペースが悪いところがあるのが気になる。もう少しコンパクトに話をまとめた方がいいかと。中車は大健闘だが、一本調子になりがちなのが、どうしても気になる。与五郎直助を演じた、歌之助が素晴らしい。将来の色悪として期待。

六月大歌舞伎@歌舞伎座

義経千本桜より、まずは、「木の実・小金吾討死」

千之助くんは、やっぱり女形の方がよいのかもしれない・・。立ち回りも綺麗だし頑張っているが、声が柔らかいし、お顔も綺麗なので、女形の方が「にん」かと思う。立ち回りはまだ、息がピッタリといかず、投げた刀もキチンと受け取れず。紐を投げ合うタイミングも、取手の役者たちが何だかモタモタ。もう少し日が進むと慣れてくるでしょう。

「すし屋」は壱太郎のおさとの可憐なこと。「ビビビビビー」がにくたらしくもかわいく、また、甲斐甲斐しく寝床の用意をする様子もマメで後半の悲劇を際立たせる。仁左衛門さんの権太は安定。「本当はいい人だったのに、何かのきっかけでひねくれてしまった」という人の好さがにじみ出る権太。耳に入った隣席の男性のコメントは、「菊五郎はヤクザっぽくて捜査4課の領域。菊之助は頭の良さそうな詐欺師風で捜査2課。」とのこと。となると、仁左衛門の権太は、少年課から世話してる交番のお廻りさんの領域か?

「川連法眼館」松緑は頑張ってたと思う。ただ、何でかわからないのだけど、全体のテンポが悪く、気持ちが入り込めない。松緑の狐は、なんだかドン臭そうで、欄干から飛び降り、飛び乗りするのにイチイチ「ドスン」と音がする感じで、狐ぽっくない。「猿之助なら、体重を感じさせないのにな・・もう見れないのかもしれないのか・・」などと思ってしまい、余計に舞台に集中できず。今一つ、体調がすぐれなかった影響もあるが、全く気持ちが入らずに終わってしまった。
歌舞伎も見るものを選ぶようにしよう・・と決めた。