ハッピー・ライフ・ダイアリー

茶道・歌舞伎・江戸絵画など・・

茶の湯の床飾り —茶席をかざる書画@出光美術館

まずは、東山御物を中心とする室町期の墨蹟から。牧谿の平沙落雁図は、静けさのある美しさ。大燈国師はなめらかに自由に、無準師範は誠実で力強く、虚堂の字はまめまめしく丁寧にと、並べて展示をされると違いが明確にわかる。

一休の書は達筆で自由自在。他にも沢庵、江月、清厳など・・。よい軸と言われるものは、文字の巧拙をこえた、高貴さが表出されると改めて実感する。
佐竹本の人麻呂は顔が美しい。

煎茶の掛物は、山水画なれど、牧谿の静けさというよりは、何やら賑やかに感じられ、茶の湯の世界とは異なる理由が理解できた気がする。

安宅コレクション名品選101@泉屋博古館

特別展 大阪市立東洋陶磁美術館 安宅コレクション名品選101 | 展覧会 | 泉屋博古館東京 <六本木>

 

20年ほど前になるだろうか・・?東洋陶磁美術館で初めて安宅コレクションを鑑賞した。陶器はこんなに美しく、また、こんなに多様な形や焼成方法、技法があることに驚き、さらに、これらを選び抜いて手に入れた安宅英一の審美眼に驚愕した。

その安宅コレクションが東京で鑑賞できるということで、泉谷博古館へ。
20年経過し、自分の審美眼も磨かれたと思う。その上で、やはり、安宅コレクションの美しさには目を奪われる。茶の湯の「侘び・寂び」といった概念をあざ笑うかのように、完璧なフォルム、完璧な発色、完璧な絵付けの中国・朝鮮の陶磁が並ぶ。確かに、粉引雨漏手といえるようなものもあるが、その場合は形が美しい。形が多少歪んでるものは、発色が美しい。
改めて安宅の美への執念を感じるコレクション。

個人的には青磁の美しさを再認識させられた展示でもあった。

江戸絵画の華 若冲と江戸絵画@出光美術館

出光美術館に移ったプライスコレクションのお披露目。何と言っても「鳥獣花木図屏風」は圧巻。升目一つ一つ、間近でゆっくり鑑賞できる幸せ。升目を描いているものの、升目を無視して曲線を描いているような箇所も多数あり、この升目書きの目的は何だったのか??と改めて考えさせられる。(答えは持ち合わさないのだけど・・)
豊富な若冲の墨絵のコレクション。筆の速さで、描いた年代が少しだけわかるようになってきた気がする。
その他にも肉筆の浮世絵、屏風など、かなり豊富。浮世絵は派手で豪華な表装が多い印象なのだけど、これはプライスさんの趣味なのか?はたまた、オリジナルの表装なのか??など、こちらも想像が広がる。
河鍋暁斎の妓楼酒宴図は、人物描写がやはりうまいと、改めて認識。
よい展覧会であった。

 

智積院の名宝@サントリー美術館

等伯の楓図、息子久蔵の桜図が智積院を出て同時公開という触れ込み。

智積院で見た時に、おそらく都合で上部が切り取られtと思われる楓図は幹が太すぎて、楓の風情がなく、その他、等伯が描いた障壁画は松の幹が太すぎて、葉もぺたーとした感じで好きになれなかった。

今回、智積院の宝物館より間近で見ることができて、目からうろこ。
楓の下の鶏頭などの草花や色とりどり楓の葉が緻密に描かれ、初秋の風景が丁寧に表現されていた。
秀吉の注文か?狩野永徳の檜図への対抗意識か??巨木を描いたけれど、本当はこの人は細かい草花や葉を描くのが得意な人なのだろうな・・と、一人納得。最晩年の十六羅漢図など、衣装の模様まで緻密に描かれていたし・・。

新春浅草歌舞伎第二部

今年は、もっと歌舞伎に出掛けよう!と思い、早速、新春の浅草へ。
太夫Twitterで「若者の義太夫狂言熱演を是非に!」と言うだけあって、歌昇・種之介兄弟の傾城反魂香が溌剌としていて良かった!

ほとばしる熱情が口の不自由さで表現できない様子が、そのまま歌昇の「もっと演じたい!話したい!」という姿に通じる、若々しい又兵衛。種之介は、女房役を器用にこなし、兄弟ならではの息の合った夫婦ぶり。そして、葵太夫がいつにもまして力強い義太夫で聞き惚れた。
連獅子は莟玉の子獅子がりりしい、可愛い、美しい!松也は大きく立派な親獅子ぶり。振付が常と違う気がしたのは、松也もより若さを強調するためか??
狂言は、歌昇・種之介が前半舞台とは全く違う姿で登場。踊りのうまさを垣間見せるお坊さんぶり。
毛ぶりは、若い二人のにおとなしいなぁ・・もっと腰を入れて大きく振ればと思っていたのだが、いやいや、時間が長い。拍手が続いても、まだまだ、振るのか・・!
100m走りではなく3000m障害という風情の毛の振り方だったんですね。

まだ、3日目。千秋楽までに、みなどれだけ進歩していくのか・・というよい舞台を新年早々観劇できて、満足。
やはり、今年は歌舞伎だな。

十三代目市川團十郎白猿襲名披露記念歌舞伎座特別公演

歌舞伎座に大向こうがかかり、晴れ着が行き交う姿が戻ってきた。やっぱり、こうでなくっちゃ・・。

神歌はひたすら厳かに。


顔寄せ手打ち式は、100人近い歌舞伎役者が並ぶ。白鷗・團十郎新之助の挨拶。河竹登志夫さんが逝去したので、どなたが名題を読み上げるのかと思っていたが、竹柴正二氏(だったと思う。)。一本締めのタイミング、白鷗と海老蔵が構えるタイミングが早くて、客席から少し笑いが。仁左衛門玉三郎、反対側の中央が菊五郎吉右衛門さんがいないのは寂しいが、福助さんが座られていたのは嬉しかった。菊五郎さんの発声で客席と一本締め。


團十郎と歴代團十郎の軌跡の映像。写真は残る9代目。俳優ではない10代目も写真で紹介。ビデオが残る11代目(1962年のものだった)は、やはり「海老様」で華やか。懐かしい12代目の映像も。
最後は、勧進帳仁左衛門の富樫も美しく、玉三郎義経は気品があり。團十郎は・・・、相変わらず粗いところが。以前に観劇した勧進帳は、若さで熱く突っ走る弁慶として、それはそれで悪くなかった。今は「若さ」「熱さ」がない分、そして、今回は大ベテランとの共演(四天王も全員年上だし)もあり、粗さが目についてしまった。
とはいえ、團十郎を襲名した初日!!これからの、進化を大きく期待しましょう。

 

家元 天然忌

まずは、新席で薄茶を一服。広々とした席は気持ちよい。大きな亥の子餅が而妙斎の花押入網目食籠で。如心斎の法統を示す掛軸、四方棚、交趾青の鮮やかな水指。数茶碗は高取か唐津と思われるもの。茶杓の銘は「山姥」。半月の意匠の棗。

その後は、花寄せを見学。

 

最後に薄茶をもう一服。加勢以多は高足付の器で。天然の号の掛軸、蟷螂の香合。阿古陀形の茶器。象牙茶杓。数茶碗は安南写し?。水指は新南蛮。(吸江斎 晩鐘の書付あり) 長次郎茶碗の写しの黒茶碗。

 

暑かった・・。