ハッピー・ライフ・ダイアリー

茶道・歌舞伎・江戸絵画など・・

歌舞伎座 夜の部

吉野川
最初は話のテンポが遅くて、寝落ち・・。
しかし、後半、大判事、定高がそれぞれ、自分の子に手にかけるくだりになってからは、吉右衛門玉三郎の演技に引き込まれる。吉野川を渡して、首となった娘を嫁入りさせ、嫁入り道具を流して渡する玉三郎の悲しみ、それを粛々と受け取り久我之助が腹を切り倒れる横で並びたてる吉右衛門。大人の大きな演技・・。素晴らしかった。

●らくだ
正月に大阪で見た愛之助・中車・亀鶴トリオのらくだが、すごい面白かったので、期待していたのだけど、江戸組はいまいち不発。
愛之助が調子の良さと凄みをハッキリ使い分けることで、くず屋の久六が嫌々ながら巻き込まれていく様子が面白いのに、松録は今一つ、凄みも調子の良さも一本調子で、怖さが伝わらない。
一方、中車は、気が小さいのに小ずるい所があるところを見せたり、らくだの死体の重さを支えきれずに崩れていく細かい演技がうまいけど、染五郎もうまいけど、小技はまだまだ。
そして、何より、大阪組は、らくだのかんかんのうを自分たちも楽しんでやっていて、大家夫婦も大はしゃぎになるし、何おり死体のはずの亀鶴が笑いをこらえて演じるほどノリノリなのに対し、東京組は客席を笑わすことに真剣なのか面白くないのだ・・。
こういう笑いは、DNAに刻み込まれた関西人の方がうまいんだな・・。東京生まれとしては悔しいけど、歴然とした差があったのでした。

●元禄花見踊り
玉三郎が若手花形を引き連れて、華やかに踊るのだけど、貫禄といい美しさといい色気といい、玉三郎さま、ずぬけております。気分よく、打ち出し。