・歌舞伎座 團菊祭五月大歌舞伎 弁天娘女男白浪
右近の弁天がはつらつと躍動。セリフが現代調に流れるところがあるけれど、かえってそれが、弁天の若さと生意気さにつながり、「この悪ガキ!」と心の底から思える楽しい芝居。巳之助・隼人・米吉と並ぶ、稲瀬川の勢揃いも美しく、彦三郎がまさに親分としての格を見せる。彦三郎の美声に負けず、この若手たち声にハリがあって美しい。
「時分の花」とはこういうこと。芸の不十分さを補って余りある今だからこその座組みを存分に楽しんだ。
全員にイヤホンガイドが配布されたので解説を聴きながらの観劇。
藤娘の壱太郎は美しく可憐で艶やか。
連獅子は、自虐的に「50歳で子獅子」と口上で述べていた愛之助が健闘。ただ、あくまで健闘。やはり、若者たちが力一杯頑張る!という、コロコロ転がるところ、後ろ向きの引っ込み、跳躍の高さといったところに、悲しいかな、年齢が出る。ただし、毛振りは圧巻。鴈治郎さんも、ガンガンについてきていて、楽しかった。
・根津美術館 杜若屏風の茶会
昭和12年(1937)5月の茶会の再現。応挙の藤、後輪の杜若、吉野桜図屏風をぐるりと巡らし、提重での花見の媒酌席の再現は圧巻。茶の湯とは、お客に楽しんでもらうことと定義すれば、これ以上の楽しい茶会道具組はないだろう。箒庵の茶会記で読んだ道具組を実際に見られるのは何より。並べてみると、想像以上に豪華な道具組。